2009年11月3日火曜日

今年も冬と共に帰って来た【つぼ焼いも】

 
突然、しかも当然のようにやって来た寒波に覆われた湊町に、
懐かしい暖簾の隙間から裸電球の暖かげな光が漏れ出してきていた。



今年も、やっと【三戸商店】が開店したのだ。



元祖つぼ焼いもの【三戸商店】は
昔から湊地区の人々に愛されてきた「焼きいも屋さん」である。
また、その独特の「壺焼き」が生むホクホク甘い食べ応えが評判となり、八戸市内はおろか近郊各所から買い求めに来るフアンも多いほどだ。
いきおい各メディア等での露出も頻繁となり、
仙台や札幌などの遠方から来るお客さんもいるという。

八戸のヒトなら誰もが知ってる
湊スゥイーツの“老舗”であり、
湊の冬の味覚であり、
八戸グルメ〜物のひとつなのだぁ!



そんなこんなで
早速、店内に駆け込んで焼き芋を注文しつつ、
お話を伺ってみたところ…
なんでもオバぁさんは心臓の手術を受けたばかりで
今年はゆっくり休もうと思っていたらしい。
しかし…
TV等を見てわざわざ遠方から来てくれるお客さん方を
手ぶらで帰すのは申し訳ないと考え、
せめて11月〜3月までは営業することにしたのだという。
そーして今年は11月1日から店を開けることとなったのだ。

きっと壺焼き芋の暖かさの半分は
オバぁさんの心の温かさなのかもしれない…
…なんて思ってしまう程、
穏やかで優しく可愛らしいオバぁさん自身もまた
多くのフアンを引きつける“味わい”なのである。

そんな事情もあって、
今年は、例の「煮干し出汁おでん」はやらないのだという。
寒い夕方に、あの「おでん」でビールを飲むのが冬の愉しみのひとつだっただけに本当に残念ではあるが、何よりオバぁさんの体の方が大切だ。
これからも無理をせずいつまでもずっと「つぼ焼いも」を食べさせていただきたいと切に思う。



白い紙袋に入れられ、
更にその上から新聞紙で幾重にも巻き包まれた焼き芋を受け取ると、
手のひらに軽くズッシリとした重みと微かな暖かみを感じた。

コレコレ。
コレこそが「つぼ焼いも」であり「湊の冬」なんだ。



この突然の寒波も、
三戸商店の店開きを祝い、
『つぼ焼いも』をより美味しくするための計らいだったのだと考えると、まんざら悪くないようにも思えてきた。



大きな地図で見る

0 件のコメント:

コメントを投稿